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親子グマに出会った翌日の14日も「クマの谷」に行ったのですが、視界20mの濃霧で見通しがきかず6時間ほど粘った末にあきらめました。こういう時、クマたちは積極的に行動しているのかもしれませんが、鼻や耳が利かない人間は手も足も出ないですね。

次の日は夕方にねらいを定めて現地に来てみました。霧は出ていないけれど、薄暗く今にも雨が降りそうな天気。絶好のクマ日和です。この日は観察仲間のTさんも現地に来ており、一緒の行動でした。

身支度を調えて歩き始めました。一人の時より緊張はしないのですが、相手はどこにいるかわからないので、とにかくゆっくりゆっくり音を立てないようにして進んで行きました。足もとからはイナゴたちがピョンピョン跳びだします。谷を見渡す丘の上から「キリンの首」で下の草原を眺めていると、Tさんが合図を送ってくれました。指さす方を見るとミズナラの木がワサワサと揺れ、時々ポキッっと枝の折れる音がします。しばらく眺めていると、葉陰から子グマが一頭顔を出しました。
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  Canon XL-H1  XL5.4-108mm L ISll

おととい出会った子グマです。母グマともう一頭の子グマは下の方にいるようで、枝を折る音だけが聞こえてきて姿は斜面に隠れて見えません。子グマは一生懸命に枝にしがみつき、まだ青いミズナラの実をかじっていました。
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  Canon XL-H1   EF300mm F4L IS

イナゴが多い時期はまだ木には登らないと思っていたので、この事実には少し驚きました。栃木の足尾銅山で数年に渡りツキノワグマを撮影したNHKの柳澤カメラマンからは、クマは9月からミズナラの実を食べるようになる、と教えられていました。その通りになったわけです。イナゴよりミズナラの実の方が魅力的なのでしょうか。
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  Canon EOS-1D MarkⅢ  EF100-400mm F4.5-5.6L IS

しばらくすると風向きが変わり私たちが風上側になりました。すると、枝を折る音がしなくなり子グマは急いで木から下りてしまいました。2人分の人間に匂いに感づいた母グマが、子グマに木から下りるよう促したのだと思います。これを機に私たちもそっとその場を離れました。

その後、20、21日と現地に行きましたが、親子グマの姿は見つけられませんでした。おそらく遠くには行っていないと思われるので、もう少し観察を続けようと思います。なお、現地はキノコやクリを目当ての人が入り始め、中には一斗缶を打ち鳴らすなど刺激的な音をたてて歩き回るグループもいますが、これはやめた方がいいと思います。子連れのメスグマの場合、クマ鈴や足音、人の声など小さな音でも感づけば逃げて行きますが、大きな声で威嚇したり攻撃的な行動をとると遠くからでも襲ってくる確立が高まるようです。襲われてケガをした経験者から直接聞いた話です。
by fieldnote | 2008-09-22 07:08 | ツキノワグマ

再会

五葉山南麓で一頭のツキノワグマ成獣に出会ったのは、ちょうど一年前の9月の三連休。その時、夢中で食べていたのは、この時期草原にたくさん生息しているイナゴでした。

で、今年もツキノワグマに再会するべく、この連休を利用して昨年出会った場所へ。出会える確立は限りなく低いことはわかっていますが、今はイナゴの最盛期だから食いしん坊のツキノワグマのこと、食べ物の条件さへ良ければやって来るに違いない・・・と考えたのでした。

周辺を一通り巡回したあと、いよいよ核心部へ。小雨も降り出して再会への期待はいやでも高まります。「クマの谷」と名付けたイナゴがたくさんいる草原の入り口に来てみると、
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  Canon EOS-1D MarkⅢ   EF500mm F4L IS

・・・ シカがたくさんいました。クマがいればシカは逃げるので、つまりそこにはクマは来ていないということ。今日はクマが目的だったのでちょっとがっかりです。でも、オスジカの成獣がメスのグループに入り始めている様子が見えたので、気を取り直して撮影開始。何枚かシャッターを切ると、突然シカ達がさーっといなくなりました。なんとなくいつもと違う不自然な様子にレンズを置いて後ろをみると ・・・

真っ黒いかたまりが3つ、ツキノワグマの親子連れがいたのでした。クマたちは道路を横切り、車の前方12~3mの所を通って草原に入り、イナゴを食べながら少しずつ谷に向かって移動しています。このような登場の仕方で、しかも親子連れというのは想定外だったので、ちょっとあわてましたが、気を取り直してビデオカメラを三脚にセットして撮影を始めました。
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  Canon XL-H1  XL5.4-108mm L ISll

子グマは母グマに習ってイナゴを捕まえて食べているのですが、時々、お互いにちょっかいを出したりコロコロと取っ組み合ったりと、やんちゃぶりを発揮しています。母グマの胸にはおっぱいが見えています。子グマたちは草や昆虫を食べはするものの、まだ完全に乳離れしていないのかもしれません。3頭は少しずつ離れて行くので、用心しながらあとを追い、望遠レンズに付け替えて撮影しました。
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  Canon XL-H1   EF300mm F4L IS  撮影:9月13日

3頭とも食べるのに夢中だったためか、こちらの存在に気づくことはなかったのですが、やはり子連れのクマとなると緊張感はまた格別です。こちらが風上だったのでにおいに感づかれる可能性があります。2回ほど子グマが立ち上がり鼻をヒクヒクさせた時はドキドキしました。

40分ほど撮影、観察を続けましたがやがて丘の向こうに姿を消したので、深追いせず引き上げることにしました。「からぶり」を覚悟してやってきたのですが、昨年のクマではないものの、期待以上、いやこれ以上ないほどの出会いを果たすことができ大満足の一日でした。
by fieldnote | 2008-09-15 01:06 | ツキノワグマ

換毛期

不安定な天候の中、シカの観察に出かけました。山上は小雨でガスが流れ、時折見通しがきくようになるだけという悪条件。そんな中で見かけたオスジカたちはまだ集団で行動しています。8月半ばは鹿の子模様の夏毛ばかりでしたが、今はもう全身の毛が黒くなっているものもいます。角は皮が剥がれ落ちて硬く鋭く見えます。
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以上    Canon EOS-1D MarkⅢ   EF500mm F4L IS

初夏の頃は、車を見かけただけで飛ぶように走って逃げていたシカたちも、発情期が近いせいか大胆になってきました。ゆっくりとした動きであれば、車から降りてビデオカメラを三脚にセットしていても逃げ出さなくなりました。ただし、あんまり慎重にやっていると、もうちょっとというところでスタスタと向こうへ歩き去ってしまい、くやしい思いをします。
by fieldnote | 2008-09-07 21:29 | ホンシュウジカ

ちょっと前の事です。

フクロウの森の巡回を終え、車で林道を走っていたら変なものが飛んでいるのを見つけました。双眼鏡でよく見るとチョウらしいのですが、羽の大きさに対して腹の長さが異様に長い。変だなあ、と思いながら見ていると草に降り立ちました。そっと近づいてよく見ると交尾中のチョウでした。
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以上    Canon EOS40D  EF70-200mm  F2.8L IS

オスとメスで色や模様が全く違うので別の種かなと思いましたが、あとで調べるとメスグロヒョウモンというチョウで、その名の通りメスの羽は黒っぽく見えます。

車の窓からの窮屈な姿勢での撮影に耐えられずドアを開けてそっと近づくと、メスがオスをぶら下げるという奇妙な姿で飛び去ってしまいました。
by fieldnote | 2008-09-05 07:14 | 昆虫

飛べないウミネコ

五葉山の東側を太平洋に向かって流れ下る片岸川。その河口は釜石の唐丹(とうに)湾に注ぎ込みます。冬はサケが群れをなして上ってくる場所ですが、1年を通じてウミネコやオオセグロカモメなどが数多く見られます。

早朝のホンシュウジカ観察を終えて山を下り、久しぶりに片岸川河口に来てみました。波よけのテトラポッドはウミネコが鈴なりで、今年生まれた幼鳥の姿もちらほら見ることができます。

ふと、手前の岸に目を向けるとウミネコが1羽、地面に伏せていました。今まで、遠くの方ばかり見ていたので気づかなかったのですが、距離にして10メートルほどしかありません。
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車から降りて、少しずつ近づいてみました。数メートルまで近づきましたが、ちょっとふり向くだけで立ち上がったり逃げたりすることはありません。なるべくストレスを与えないように距離を保ちながら観察してみましたが外傷は無いようです。離れて見ていると、一度よろよろと立ち上がりましたが、すぐにぺたんと座ってしまいました。
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何らかの原因で、人間が接近しても飛び立てないほど衰弱してしまったウミネコ。いつ野良猫やカラスなどに襲われるかもしれません。が、自力で回復する可能性もあります。今回はそっとしておくことにしました。
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以上    Canon EOS40D  EF70-200mm  F2.8L IS

じっと仲間の方を見つめているような後ろ姿が哀れでしたが、目の力はまだ弱っていないのが救いでした。回復して仲間の元へ帰ってくれることを願いながら、その場を離れました。
by fieldnote | 2008-09-01 23:02 | ウミネコ